問題内容:変電所…接地抵抗
 難易度:★★★☆☆(2種標準レベル)
目標時間:★☆☆☆☆(15分以内)

【問題】
変電所の接地に関して、次の問に答えよ。

(1)
変電所の接地設計においては、人体にかかる歩幅電圧及び接触電圧を考慮する必要がある。歩幅電圧及び接触電圧について、それぞれ簡潔に説明せよ。

(2)
次の条件における、歩幅電圧及び接触電圧の許容値をそれぞれ求めよ。
なお、手の接触抵抗は無視することとする。
 (計算条件)
 人体に対する電流の許容値
  {I_{{
m K}}=dfrac{0.116}{sqrt {mathstrut t} } {
m ~[A]}}
 片足あたりの大地との抵抗
  {R_{{
m F}}=400 {
m ~Ω}}
 人体の抵抗
  {R_{
m K}=1000 {
m ~Ω}}
 事故電流の継続時間
  {t=1 {
m ~s}}

(3)
歩幅電圧又は接触電圧が許容値を若干超えてしまう場合、対策として、取り扱われる機器の周囲の地表の砂利層を厚くすることがある。なぜ効果があるのか簡潔に説明せよ。


※以下は個人の回答例です。

【回答】
(1)
・接触電圧
接地した機器に人体が接触した場合に人体に加わる電圧。

・歩幅電圧
接地した大地へ電流が流れた場合、接地極からの距離によって、二点間電位差が生じる。これにより、人体の両足間に加わる電圧。

※問題文に「簡潔に説明」とある場合、簡単な概要説明で良いと思います。(沢山書くことでアラが出てしまい、間違ったことを書き、減点対象を増やすのは避けましょう。)

(2)
事故電流の継続時間が {small{t=1 {
m ~[s]}}} のとき、人体に対する電流の許容値 {small {I_{
m K}}} は、題意の計算条件より、
 {I_{{
m K}}=dfrac{0.116}{sqrt {mathstrut 1}} =0.116 {
m ~[A]}}

人体にかかる接触電圧が最も高くなる両足で立っているとき、接触電圧を表す等価回路を下図に表す。但し、題意より手の接触抵抗は無視。
f:id:hitorisuto:20161201165234p:plain
等価回路より、接触電圧の許容値 {small{E_{{
m 1}}}} は次式より求めることができる。
 {egin {eqnarray} {E_{{
m 1}}} &=& I_{{
m K}} left( R_{
m K} + dfrac{R_{
m F}}{2} 
ight)  &=& 0.116 left( 1000 + dfrac{400}{2} 
ight)  &=& 139.2 fallingdotseq 139{
m ~[V]} …(答) end{eqnarray} }

人体にかかる歩幅電圧が最も高くなる両足で立っているとき、歩幅電圧を表す等価回路を下図に表す。
f:id:hitorisuto:20161201170239p:plain
等価回路より、歩幅電圧の許容値 {small{E_{{
m 2}}}} は次式より求めることができる。
 {egin {eqnarray} {E_{{
m 2}}} &=& I_{{
m K}} ( R_{
m K} + 2R_{
m F} )  &=& 0.116(1000 + 2×400 )  &=& 208.8 fallingdotseq 209{
m ~[V]} …(答) end{eqnarray} }

※等価回路から分かる通り、両足で立っているときは並列回路となるため、大地に対する抵抗が低くなります。そのため、歩幅電圧や接触電圧の許容値を考えるときは両足で立っているときを考えます。

(3)
・地表の砂利層を厚くする理由
抵抗率の高い砂利を敷くと、大地に対する接触抵抗を高くなり、人体に流れる電流を抑えることができ、安全性を高くすることができる。
その結果、人体に加わる歩幅電圧と接触電圧の許容値を上げることができる。

※具体的には砂利層を厚くすることで片足あたりの大地との抵抗 {R_{{
m F}}} が大きくなります。


【類題】
・平成21年(2種)
・平成16年(1種)
平成21年(2種)では接触電圧を取り扱った計算問題と敷砂利の効果について、平成16年(1種)では歩幅電圧と接触電圧の概要とその計算問題について出題されました。

平成28年の問題はこの2年分の過去問からそのまま出題されているので、1種の過去問も勉強している方は完答できたかと思います。
1種で出た問題が数年後にそのまま2種でも出題されることは良くあるので、得意な分野は1種の問題も解いてみることをおすすめします。

【重要】
歩幅電圧の概要のイメージが沸かない方は、理論の一次試験で出題される接地抵抗についての問題を考えて見て下さい。
離れた2点間の電位差を求める問題などは、まさに歩幅電圧の考え方そのものです。

【ひとコト】
計算自体は非常に優しいので、こういう問題が取れると時間的にも余裕が生まれ、試験がグッと楽になります。


・平成28年度 電験1種と電験2種の二次試験 問題
電気技術者試験センターの公式サイトです。ここから問題が見れます。

・電験2種二次 平成28年 受験感想

・電験2種二次 平成28年 電力・管理 問3

・電験2種二次 平成28年 電力・管理 問4

・電験2種二次 平成28年 電力・管理 問6